鳥に特化した医療サービスを提供するバードクリニックを開業する際には、入念な事前準備と知識の習得が欠かせません。適切な開業手順を踏むことで、バードクリニックの開業を成功に導くことができます。
本記事では、バードクリニックを開業する際に習得しておくべき基礎知識と、適切な開業ステップ、クリニックの経営に役立つ予約システムについて詳しく解説します。
バードクリニックを開業する際の基礎知識
資格
バードクリニックを開業するためには国家資格である獣医師免許の取得が不可欠です。獣医師免許を取得するためには、獣医学部や獣医学科がある6年制大学を卒業した後に、獣医師国家試験に合格する必要があります。
法的要件
薬剤を取り扱うバードクリニックでは、獣医師法や薬事法などにより定められた規制の遵守が求められます。また、医療廃棄物の管理や、感染症に対する予防策など、公衆衛生に関わる法規制への対応も欠かせません。法令の理解を深めて衛生安全を徹底することで、飼い主からの信頼の獲得につなげられます。
必要な資金
バードクリニックの開業に必要な資金は、規模にもよりますが賃貸テナントの場合、一般的に3,000万~5,000万円が必要とされています。以下に、開業費用として考えられる主な項目を示します。
- 医療機器や医療器具
- 不動産の契約費用
- 内装や外装のリフォーム
- 2か月ほどの運転資金
- 広告宣伝費
- デジタルツールの導入費
バードクリニックを開業する流れ
①運営方針や目標の設定
バードクリニックの開業を成功させるために最も重要なのが、運営方針や目標の設定です。
他のクリニックとの差別化を意識した独自コンセプトの決定、自由診療のサービス構成やターゲット層などの明確化を行います。また、実現したい売上高や顧客数などを設定し、それに基づいて従業員数やクリニックの規模を決めることが重要です。これらの要素を具体化することで、戦略的な運営計画が立てやすくなり、効果的な資源配分やマーケティング戦略の策定が可能になります。
②開業形態と場所の選定
運営方針や目標に基づいて開業の形態と場所を選定します。
テナント
テナント物件はビルやアパートの一室を契約することで経営でき、戸建てに比べ賃料が抑えられます。一方で、周辺人口の多い場所での運営になるため、エリアのリサーチが欠かせません。また、間取りを大きく変えることができないため、経営形態にやや制約があります。
居抜き物件
居抜き物件は前のテナントの設備や家具などがそのまま残っている物件です。既存の設備やインテリアをそのまま利用できるため、開業にあたっての初期費用を大幅に削減することができます。初期費用を安く抑えられると、開業コストの回収が早くなるため、経営が軌道に乗りやすいです。一方で、既存の設備や内装をそのまま利用するため、自身の理想とするデザインや設備配置を行うことが困難になります。また、設備に不具合や故障があった場合、修理のコストが追加で発生する場合もあります。
医療モール
医療モールとは、ショッピングモールに併設され、複数のクリニックが集まるエリアのことを指します。利用者にとっては高い利便性があり、トイレや待合室を共有できるため設備費用を抑えることができるほか、買い物やペットのトリミングなど別の目的で訪れた飼い主への集患が見込まれるのが強みです。一方で、診療時間や設備、デザインなどは医療モール側の意向に従って設定する必要があります。
移動診療
移動診療は、医療設備を搭載した車両やトレーラーで、飼い主の自宅や特定の場所で診療を提供する開業形態です。この方法により、飼い主による鳥の移動が削減し、環境の変化に敏感な鳥のストレスを軽減することができます。また、自宅で診療を行うことで、鳥の生活環境を直接観察できるため、環境に起因する健康問題の早期発見にもつながります。
一方で、専用の車両や設備には初期投資がかかり、さらに車両の維持費や燃料費などの運営コストが発生します。また、多くの地域や飼い主に対応するためのスケジュール管理やルートの最適化が求められます。
オンライン診療
バードクリニックにおけるオンライン診療は、インターネットを通じて診療サービスを提供する形態です。移動が困難な飼い主や遠隔地に住む飼い主でも受診することができます。オンライン診療では、実際に鳥を触診することができないため、身体的な検査や治療が必要な場合には対応が難しくなります。一方で、緊急性のある症状や疑問に対しては、迅速にアドバイスすることが可能です。
③事業計画の策定
バードクリニックの事業計画を策定するうえで、どれくらいの規模で事業を実施するのか、開業資金やランニングコスト、収益見込みなどを考慮します。また、物件家賃や人件費などのランニングコストは、慎重に仮説検証して、正確な数値を算出することが重要です。
正確な事業計画を策定することで、資金調達をしやすくなり、資金難に陥るリスクを下げられます。
④資金の調達
事業計画を策定した後は、資金の調達を行います。
助成金
助成金は、地方自治体や財団法人などの団体が特定の条件を満たす事業者に対して無償で提供する経済的支援を指します。助成金は後払いで事業者に入金されるのが特徴です。
助成金の審査をするうえで、詳細な資金計画が求められます。
参考サイト:近畿経済産業局 「補助金採択後は、書類整理も重要です!」
金融機関からの融資
開業資金が不足している場合は、金融機関からの借入れを検討します。信用情報や事業計画の内容に基づいて、金融機関から融資を受けることができます。融資の条件や金利、返済計画をしっかりと把握し、事業の収益性を損なわない範囲で借入れを行うことが重要です。
・東北銀行 「創業支援ローン 〜起業のとびら〜」
・千葉銀行 「ちばぎん地方創生融資制度」
・福岡銀行 「創業支援」
⑤各届け出の提出
資金を調達した後は、各届け出を提出します。
診療施設開設届
獣医療法第3条に基づいて対象の都道府県に対して診療施設開設届を提出します。届出の提出期間は、開設日から10日以内です。仮に提出が遅れた場合は、遅延理由書を添付する必要があります。なお、診療施設開設届に必要な添付資料は、以下の通りです。
- レントゲン設置届
- 診療施設の見取り図
- 定款
- 獣医師免許の写し
- 最寄りの駅から施設までの案内図
エックス線装置備付届
バードクリニックでエックス線装置を取り扱う場合、対象の都道府県に対してエックス線装置備付届を提出する必要があります。設置届の書類にはエックス線装置の製作者名と型式、使用する台数や使用用途を記載して提出します。
また放射線診療装置を導入する場合、高エネルギー放射線診療装置や放射線同位元素装置などの設置に関する申請書をそれぞれ提出する必要があります。
税務署・県税事務所への届け出
税務署や県税事務所へ提出する届け出も存在します。
- 個人事業開業届出書(税務署)
・必ず提出する必要がある届け出
・提出期限は事業を開始した日から1か月以内 - 事業開始等の届出書(県税事務所)
・必ず提出する必要がある届け出
・提出期限は地方公共団体の条例等で定められた日 - 所得税の青色申告承認申請書(税務署)
・提出は任意
・申請書を提出して、一定の要件を満たすと税金面で有利な扱いを受けることが可能
・提出期限は最初に青色申告の適用を受けようとする年の3月15日
労働保険関係の届け出
労働保険関係の届け出は以下の通りです。
- 労働保険関係成立届出書(労働基準監督署)
・提出期限は保険関係が成立した日(従業員を雇った日)から10日以内 - 概算保険料申告書(労働基準監督署等)
・その年度分の労働保険料を概算保険料として申告し納付
・提出と納付の期限は保険関係が成立した日から50日以内 - 雇用保険適用事業所設置届(ハローワーク)
・労働保険関係成立届出書を提出後、その控えを添付して提出
・提出期限は雇用保険の適用事業所となった日から10日以内 - 雇用保険被保険者資格取得届出(ハローワーク)
・従業員を雇用保険に加入させるために必要な届け出
・提出期限は、基本的に従業員を雇った月の翌月の10日
バードクリニック向けの予約システムとは
バードクリニック向けの予約システムは、予約受付や飼い主の管理を自動で行うシステムです。バードクリニックにおける業務の効率化はもちろん、集患に役立つ機能を数多く搭載しています。
ここでは、予約管理システムの導入メリットと、バードクリニックの運営に役立つ予約システムの機能について解説します。
・業務効率化
予約管理システムは予約受付や飼い主の情報を自動で管理します。人の手により紙やExcelで管理する必要性を省けます。
・費用削減
予約システムの自動管理機能は、費用の削減にも効果的です。予約や飼い主の情報はデータ化されるので、大量の紙や、管理するスタッフに費やしていた経費は低減されます。
・飼い主の利便性の向上
予約の確認や変更をオンラインでかんたんに行えることで、予約者の利便性が向上します。また、待ち時間の短縮やスムーズな受付が実現し、飼い主の満足度も高められます。
・マーケティングの強化
予約受付システムを通じて集められるデータを分析し、ターゲット市場の動向や飼い主の需要を把握することができます。このデータを基に、効果的なマーケティング戦略を立案可能です。
予約システムの機能紹介
予約システムはさまざまな種類が存在しています。それぞれ特徴が異なるため、運営方針に合った予約管理システムを判別することが必要です。
オンラインカード決済機能
オンラインカード決済機能は、オンライン予約時にクレジットカードで決済できる機能のことです。オンラインカード決済機能を活用することで、飼い主は事前に支払いを完了できるため、予約当日にスタッフが要する業務の負担が軽減されます。
予約時アンケート機能
予約時アンケート機能は、予約時に飼い主へアンケートを表示する機能です。事前にアンケートを入力してもらうことで、鳥の種類や名前などを事前に把握でき、診療の質の向上に繋げられます。また、アンケートにより流入経路を特定できると、今後力を入れて宣伝すべき部分が明確になり、さらなる顧客獲得が可能となります。
キャンセル待ち機能
キャンセル待ち機能は、予約が埋まっている予約枠にキャンセルが生じた際、キャンセル待ちをしている予約者に対して通知を自動で送る機能です。管理者はキャンセルの把握、キャンセル待ちの連絡をすることなくシステムが自動対応します。
準備時間設定の機能
準備時間設定の機能は、予約と予約の間に隙間時間を確実に確保できる機能です。例えば、10時からの予約を受け付けた際、準備時間を30分に設定していると、自動的に10時30分の予約の受付を終了します。この機能により、準備に要せる時間が確実に確保できるため、獣医師は余裕をもって施術できます。
施術時間が伸びてしまいがちなバードクリニックでは、準備時間設定機能がとても効果的です。
まとめ
本記事では、バードクリニックを開業する際に習得しておくべき基礎知識と、適切な開業ステップ、クリニックの経営に役立つ予約システムについて詳しく解説しました。
バードクリニックの開業でお悩みの人はぜひ、本記事を参考にしてください。
バードクリニックの運営には、予約システム「RESERVA」がおすすめ!
画像引用元:RESERVA公式ホームページ
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